軍歌の終焉 [編集]
昭和20年8月15日の終戦、その年の11月30日をもって、明治以来の大日本帝国陸海軍は解体・消滅。軍歌が新たに作られることは少なくなった。しかし、パチンコ店で軍艦行進曲が流されるなど、軍歌自体の寿命はまだまだ続いており、自衛隊音楽隊でも旧軍の軍歌を隊歌として演奏している。
噫呼聖断は降りたり 作詞:喜多紀世雄 作曲:須摩洋朔
終戦直後に、将兵の気持ちを静める目的で軍楽隊によって作られた。
壮行譜 作詞:内場健人 作曲:須摩洋朔
昭和21年、戦犯としてシンガポールに行かねばならなくなった寺内寿一元帥を見送る際に作られた曲。軍楽隊による最後の軍歌であり、これ以降、本来の意味での軍歌は作られていない。
異国の丘 作詞:増田幸治 補作詞:佐伯孝夫 作曲:吉田正
シベリアに抑留された将兵たちによって収容所で歌われていた曲。戦後昭和23年、ある一人の復員兵がNHKのど自慢で歌い、一挙に大評判となった。作曲者は当初不明のままレコード化されたが、のちに吉田正・元陸軍伍長が引き揚げてきて、原曲となった大興安嶺突破演習の歌(今日も昨日も)の作曲者だと判明した。シベリアでの辛抱を表すような哀切極まる歌詞とメロディーで、いまだ元将兵の心をつかんでいる。昭和24年には、全国高等学校野球選手権大会の入場行進曲にも選ばれた。
ああモンテンルパの夜は更けて 作詞:代田銀太郎 作曲:伊東正康
B・C級戦犯として捕縛され、フィリピン・モンテンルパのニュービリビット刑務所に収監されていた日本軍将校の代田と伊東によって作詞作曲され、収容されていた日本軍将兵によって歌われていた曲。昭和27年1月、来日したフィリピンの国会議員ピオ・デュランから同刑務所に収容されている日本軍将兵がいることを聞いた歌手の渡辺はま子が、オルゴールを差入れとして贈ったところ、「ぜひ渡辺さんに歌っていただきたい」という手紙とともに、歌詞と楽譜が彼女のもとに送られ、これを受けてビクターよりレコード化され、新東宝により映画化もされた。レコードは、渡辺はま子と宇都美清のデュエットで発売された。
ハバロフスク小唄 作詞:野村俊夫 作曲:島田逸平
昭和15年に林伊佐緒によって歌われた「東京パレード」の替え歌で、シベリアでの抑留生活を歌った曲。原曲よりも近江俊郎が歌った「ハバロフスク小唄」の方が有名になった。軽快な曲調が、むしろ抑留生活の悲哀を感じさせる。ちなみに、曲名は「ハバロフスク」だが曲中では「ハバロスク」と歌われることが多い。
日本の軍歌は、その支配権から独立した韓国、北朝鮮、ミャンマー等の軍歌のルーツになったとする見方もある。朝鮮人民軍は日本統治時代の旧日本軍出身者が多く、軍歌の作り方もそれに沿ったものであったとされている。また、前述の「日本海軍」や「鉄道唱歌」などから、明らかにメロディーを流用している例も散見される。
自衛隊歌 [編集]
憲法上で軍隊の保有が禁止されている事から自衛隊は軍隊ではないとされる。したがって戦後新たに作られ自衛隊内で歌われる歌も軍歌ではなく、正式には隊歌と呼ばれる。
陸上自衛隊
この国は 作詞:大関民雄 作曲:古関裕而
創隊10周年を記念して作られた陸上自衛隊隊歌。美しき自然等、自国日本をうたった重厚な曲調の歌。
栄光の旗の下に 作詞:赤堀達郎 作曲:古関裕而
創隊20周年を記念して作られた陸上自衛隊隊歌。最近でも2006年自衛隊音楽まつりにて自衛隊歌の中では唯一合唱付きで演奏されるなど、人気があり親しまれている。
君のその手で 作詞:西沢爽 作曲:古関裕而
聞け堂々の足音を 作詞:梅津統秋 作曲:古関裕而
栄光の自衛隊 作詞:三村治朗 作曲:佐藤長助
治安の護り 作詞:井戸徳男 作曲:堀内敬三
理想の歌 作曲:服部良一
男の群れ 作曲:佐久間裕
山よ海よ空よ 作詞:田邊尊文 作曲:村井邦彦
創隊30周年を記念して作られた陸上自衛隊行進歌。
海上自衛隊
海をゆく 作詞:旧版・佐久間正門 現行版・松瀬節夫 作曲:古関裕而
海上警備隊時代から愛唱されていたが、時代にそぐわなくなった歌詞のみを50周年の節目に公募の形で新しく改められた。一部の教育隊では1、2番両方共を入隊式での新隊員全員での合唱の為、それまでに完全に暗唱の形で上官に叩き込まれる。海上自衛隊の聖歌でもある。
航空自衛隊
蒼空遠く 作詞:海老根達 作曲:高山実
格調の高い詞と,覚えやすく上品な旋律で,航空自衛隊を代表する隊歌である。
非公式ではあるが旧軍時代の軍歌がそのまま歌われていたり、戦前の軍歌の詞を自衛隊仕様に変えたものが歌われることもあるが、現代もなお普通に陸海の音楽隊により公式の場(行事式典等)にて先述の「抜刀隊」や「軍艦」意外にも、「愛馬進軍歌」や「月月火水木金金」他様々な旧軍時代の軍歌が演奏されている。 特に,職種によっては軍歌を愛唱していることも多く,普通科の「歩兵の本領」,野戦特科の「砲兵の歌・襟には映える山吹き色の」,空挺の「空の神兵」は有名である。
軍歌の分類 [編集]
上述の通り、軍隊や国歌を歌った曲は、戦前戦後を通して基本的に軍歌と総称されたが、参考までに分類を付す。
軍歌
狭義の軍歌。軍隊によって作られたものを言う。民間によって作られ軍に贈られた「献納軍歌」も存在する。
(例、抜刀隊、軍艦、敵は幾万、艦船勤務、討匪行、等)
部隊歌
各部隊ごとに作られた歌。
(例、加藤隼戦闘隊、関東軍軍歌、各連隊歌・派遣軍歌・艦歌等)
軍楽
行進曲に代表される器楽曲。
(例、陸軍分列行進曲、行進曲軍艦、連合艦隊行進曲、等)
戦時歌謡
戦時色を帯びた民間の歌謡曲、映画主題歌。軍国歌謡とも。
(例、露営の歌、暁に祈る、出征兵士を送る歌、麦と兵隊、等)
国民歌謡
日本放送協会や新聞社、政府機関等が主導して製作発表された流行歌等。戦時歌謡に含める場合もある。
(例、愛国行進曲、日の丸行進曲、爆弾三勇士、アッツ島血戦勇士顕彰国民歌、 等)
兵隊ソング
兵隊の間で歌われた俗謡。兵営フォーク、軍隊小唄とも。
(例、ほんとにほんとにご苦労ね、海軍小唄:ズンドコ節、可愛いスーちゃん、同期の桜、等)
このほか、戦地で愛唱された一般歌謡曲や唱歌も、軍歌と呼ぶ場合がある。
主な軍歌作者 [編集]
大和田建樹(詩人)
佐佐木信綱(歌人)
永井建子(軍人)
田中穂積(軍人)
瀬戸口藤吉(軍人)
松島慶三(軍人)
大木惇夫(作詞家)
佐藤惣之助(詩人・作詞家)
林伊佐緒(歌手・作曲家)
山田耕筰(作曲家)
古関裕而(作曲家)
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